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『酷道を走る』鹿取茂雄(彩図社)

2010年07月 | CATEGORY : book | COMMENT(0)

TEAM酷道』管理人よごれん氏の著書である。

本書は、決して酷道の研究本というわけではないので注意が必要だ。
「酷道は、私にとって旅を楽しくさせるための手段であって、
目的ではなかった」
と鹿取氏が自ら書いているとおり、
酷道を走ることを趣味としている著者が、11本の酷道について、
旅に出る準備から、途中の寄り道まで含めて書いた、紀行文である。

本文ページの欄外には、注釈が設けられているが、
マニアが求めるディープな酷道情報は、ほとんど書かれていない。
基本的な道路情報に紛れて書かれている、
謎めいた欄外メモを拾ってみると・・・

●柿ピー
コンビニのおにぎりと共に私の主食と化している。

●とらさん(趣味仲間)は、細かいことにはよく気づくが、
大きなことをよく見逃す。

●結果オーライ
ノープランな我々にとって、実に都合のいい言葉だ。

●根回し
主にカミさんのご機嫌とりに終始する。
酷道に行くための、最初の険しい道のりだ。

などという、酷道とかけ離れたメモがちょこちょこ書かれている。

私は、このような実用性は全くないけど、
「何か分からんけど楽しそうだなあ」という部分が面白かった。
面白かったし、深く共感をおぼえた。

本書では、酷道一本命かけてます、という熱いテンションではなく、
無目的に車を走らせたり、寄り道したり、途中で計画変更する等といった、
余計な事や無駄な事に誌面がおおく割かれている。
そこにこそ、酷道の旅の醍醐味があるからであろう。

酷道という、一般人が通らない道を走ることによって生じる、
ハプニングやアクシデントこそが「酷道を走る」ことの楽しみなのだ。

酷道に対する知識は大して増えないけれど、
大の大人が「酷道を走る」ことを楽しんでいる様子が、
気負うことなく伝わってきて好感が持てる。
何よりも「オレも旅に出よっかなあ」と冒険心にポッと火をつけてくれる。

その読後感が心地良い。(サカイ)

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