『散歩の達人』に掲載されたこともあるようだが、場所や電話番号は非公開。ネッ
ト上であまり情報の出てこない、言わば荻窪にある "秘密の喫茶店" である。
しかし場所がわからない。
なんでもネットで調べられる昨今、「場所がわからない」ということほど、好
奇心をくすぐられるものはない。
という、ともによく拝見しているブログで、この謎の喫茶店について初めて知
った。その記事が両方とも、秘密めいていて、面白いのだ。
一週間ぐらい調べて、やっと見つけた。この時の、探偵にでもなった気分はど
うだ。手がかりを探して一喜一憂し、見つけたときの喜びは大きかった。
というわけで、場所を公開すると訪問の楽しみが半減するのと、マスターの
「宣伝はお断り」という意向があって場所は非公開ですが、もしよければ読ん
でください。
いざ、秘密の花園へ!
【目次】
1. 半分は自宅です
2. ピエロ好きのマスター現る
3. 和洋折衷のダイナミズム
4. おつむが良くても、手先が不器用な人
手先が器用でも、おつむの弱い人
5. 秘密の花園はペンションだった
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1.半分は自宅です
土曜の昼下がりに〈カフェピエロ〉を訪問した。
「店に入る」というより、「他人の家に上がる」気分になる。それもそのは
ず、これはマスターとマダムの家だからだ。マスターが子供の頃から住んでい
る築60年程の実家を改装して店舗にしており、2階は住居だという。
なるほど。自宅の住所を、雑誌やネットで公開されてはたまらないだろう。こ
こが"秘密の花園"と化しているのは、そのためもあるのかもしれない。
ロマンスグレーのベリーショートが似合うマダムが出迎えてくれた。トースト
などの軽食メニューもあるが、お勧めはしないと言うので、カフェオレ(650
円)を注文。ボウルに入ったカフェオレに、柿の種がついてきた。
客は私ひとり。マダムとふたりきりだ。
今日は2人のお客さんが来た。1日に10人もお客さんが来たら疲れちゃう。2人
以上は団体客とみなす。団体客は嫌だ。2人連れまでは仕方ない。1人で来た
からよかったのだ。などと世間話をしていると、マスターが帰ってきた。
2.ピエロ好きのマスター現る
丸くて大きな聖護院大根をぶら下げて、マスターは帰ってきた。農協の理事長
が住んでいる、近所のお屋敷の庭で売っている京野菜を買ってきたそうだ。
店内を入口から奥まで横断するように長く伸びている分厚い木のテーブルの端
に座っていた私の正面に、マスターも腰掛ける。煙草に火を点け、美味そうに
吸いながら、マスターは肘をついて手を組みニカッと笑いかけてきた。
マスターに話を伺った。1985年に営業を開始し、今年で31年目。夫婦でやっ
ている。ピエロという店名の由来は、話せば長くなるが、一言で言うとピエロ
が好きだからだ。
なるほど、かなりの数のピエロがあり、愛着のほどが感じられる。店の壁面に
までほとばしる芸術作品を作っているのは、このマスターだった。自らの創作
物についてお話を伺った。
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