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『つぶやき岩の秘密』NHK少年ドラマシリーズ

2010年07月 | CATEGORY : cinema | COMMENT(6)


 

神保町にあるジャニス
というマニアックなレンタル店で、
とても素晴らしいドラマを借りたので紹介します。


1972年から10年間放送されていた
NHK少年ドラマシリーズの中の
異色作『つぶやき岩の秘密』だ。

海難事故で両親を亡くした小学生の紫郎は、
三浦半島の海べりに、祖父母と静かに暮らしている。

孤独な少年、紫郎は海だけが友達だ。
毎日小舟を漕いで、秘密の洞窟に向かう。
その洞窟の中には、母の泣き声が聴こえるような気がするのだ。

ある日、紫郎はいつものように洞窟に行くと、
崖の上に不気味な老人を発見する。
この日から、紫郎はこの土地に根差した
暗い過去の事件に巻き込まれ、
命を狙われながらも「つぶやき岩」の謎を解こうと奮闘する。

子供は入ってはいけないと言われる、
第二次大戦中に作られた地下要塞。
まことしやかに噂される、隠された金塊の秘密。
戦争中に余所から来た、
白髭さん、行商の亀さん、そしてクルクルパーのやす
この謎の三人組の正体とは...

「僕は三浦義澄の直径の子孫だ!
敵にうしろは見せないんだ!」
と何度も言い聞かせて、
得体のしれない謎の人物たちと闘う紫郎。
紫郎を助けてくれる美人の小林先生と、その弟、
サザエさんで言うところの花沢さん的役割のクラスメイト志津子など、
脇役たちの昭和の懐かしい演技も必見だ。

このドラマの素晴らしいところは、
スリリングなストーリーもさることながら、
作品の舞台となった三浦半島南西部の土地の様子が
時には不気味に、時には美しく描写されていることだ。

三浦半島の地下要塞や、
秘密の抜け穴のある神社、
秘境感ただよう洞窟(南の島みたいに綺麗な青だ)など、
童心に帰って、探検したくなる場所がたくさん登場する。

そして随所に現れる「戦争」の爪痕。
一番の見どころは、
一度入ったら、誰も出たものはいないと言われる
迷路のような地下要塞で、紫郎と志津子が、
謎の人物亀さんに置き去りにされてしまうシーン。

亀さんが、
「耳をすますと、軍人さんの声が聴こえるようだ。
本土決戦をやればまだまだ敵を殺せるはずだった!」
と興奮して敬礼するさまは圧巻。
ギラギラ光る赤いような眼が忘れられない。
(イシカワ)
 

●スタッフ

原作:新田次郎
脚本:鎌田敏夫
演出:佐藤和哉
制作:柴田和夫
音楽:樋口康雄
 
●キャスト

三浦紫郎:佐瀬陽一
小林恵子:菊容子
白髯さん:美川陽一郎
小林晴雄:福島資剛
久保先生:戸川暁子
山下志津子:吉岡いずみ
亀さん:陶隆(陶隆司)
安:川端増五郎
母屋のおばさん:宮内順子
三浦ぬい:西口紀代子
三浦源造:巌金四郎

主題歌『遠い海の記憶』 歌:石川セリ

 

 
NHK少年ドラマシリーズには
隠れた名作がたくさんあるので
是非チェックしてみて下さい。

コメント(6)

『作品の舞台となった三浦半島南西部の土地の様子が
時には不気味に、時には美しく描写されていることだ。』

あー、なんか面白そうですね!

脚本:鎌田敏夫って『29歳のクリスマス』の人ですよね。
そんなに昔から脚本やってる人なんだ。
原作のメジャーさもさることながら、脚本や演出も欠かせませんよねドラマには。

田舎のレンタルビデオ屋にあるかなー?
アマゾンで買うしかないんかなー。。。。

文庫さま

そうそう、鎌田敏夫なんですよね、脚本。
29歳の? 懐かしいですなぁ
ヤマトモとギバちゃんと松下由樹のね!!
思わずノベライズまで読んじゃいましたよ(笑)

『つぶやき岩の秘密』、
ほんとによかったですよ。
映画と違って、ドラマをまとめたやつだと
放送回ごとに、主題歌とかエンドロールが入って、
変なやみつき感がありますよね。

『遠い海の記憶』って主題歌がねー
よかったんですよ!
うまいこと海べりのひなびた町と、昭和っていう時代と
まっすぐな少年の心を現しているようで。

ほんと、おすすめですよ。
うちの地元のTSUTAYAには置いてなかったので、
ちょっと大型レンタル店にいかないといかんかもしれないですが、
ぜひ機会があったら見てみて下さいなー!

昔の岩は、ツイッターやってたってこと?

サカイさん

つぶやきっていうより、叫びでしたよ。

クルクルパーの「やす」っていう名前とか、
昔の作品はおおらかでいいなぁと思いました。

そうです!
29歳のクリスマスは、ヤマトモ(そんな略し方は初めてだ)のです。

私はフジドラマ再放送ファンですが、
再放送枠でも29歳のクリスマスは絶品でしょう。

演出:鈴木雅之
プロデューサー:石原隆

フジドラマ再放送ファンは、この名前が気になります。

ヤマトモ再放送つながりとしては
「王様のレストラン」も欠かせません。

それにしても、
NHK少年ドラマシリーズって、
ボクが生まれる前のなんだ。

レンタルやネットで、
時系列関係無く映画もドラマも見れるご時世ですから、
こういうレビューもいいですね。

遠藤さん

けっこうまえですがドラマ再放送で、
なぜかはまってしまったのは
『さんかくはぁと』(テレ朝95年ごろの)でした。

山本耕史の「ご機嫌だぜ!」というセリフが
なんども頭の中を駆け巡りました。

永作博美のワルな演技が素晴らしいです。
最終回で思わず感動して、
涙が止まらなくなったときには、
少しだけ自分を恥ずかしく思いました。

昔の作品で、埋もれてるようなものを
定期的に再評価していこうと、
よくわからない使命感を感じています、勝手に(笑)

すみません、長話して。

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