この歴史的建造物を運転中の車窓から見た瞬間、
長い時代を生き抜いた建物が持つ風格と存在感が、
遠い記憶を呼び起こすように、不思議な感覚を運んできた。
正面入口の立派な破風からは、雑草が生えていた。

内部は物抜けの殻で、建物の正面内部の窓口を除けば、
普通の民家のような、畳の部屋がいくつもあった。

「教室は2階です」と書かれた張り紙があり、

郵便局の2階を間借りして、何かの教室が行われていたのだろう。

2階には、10月に迫ったSEX段位認定試験の告知が残っていた。
今回の試験は、木、机、車を用いて行うようだ。

南木曽の童貞たちの仕業に違いない。

●木造の郵便局廃墟
長野県南信州某所／2005年初夏（取材）／サカイ