『廃墟という名の産業遺産』の制作途中で、
サハリンに残る王子製紙の工場跡について深く知るために、
東京都北区にある「紙の博物館」を訪れた。
王子製紙のOBである技師たちにお願いして、
当時の図面と私の撮った写真を比較検討し、
検証してみたのだが、
なかなか全貌を解明することができなかった。
その理由として、日本時代の後、
現地のロシア人によって転用され、新たな設備の導入や、
解体、増改築がなされたこと、
大半の機械がなくなっていること、
などが挙げられる。
また、私の写真の不正確さと記憶の混同も一因であったと告白しておこう。
そんななか、この半野外化した、
劇場のような外観の建物の用途は、解明できた。
ここは蒸解終了後のパルプを放出するためのブローピットだという。
日本時代の施設であり、立派な産業遺産である。
建物が巨大すぎて、時々、遠近感や高低差の感覚が鈍ってしまう。
青色に塗られた出入り口の扉を見て、
自分が2階に位置する場所にいることを思い知った。
蒸解室にチップを運ぶベルトコンベアを支える支柱。
敷地内は区画が形成され、さながら工業団地である。
街並みのような、外観の風景も見応えがある。
さて、ブローピットのある建物の列から、
小道を挟んで並ぶ建物におじゃましてみる。
ターミナル駅のプラットホームを彷彿させる。
換金できるものは全て持ち出されたのだろうか。
ロールが残されている。
ロシア人によって、転用後に使われたモノだろうか。
1階。まっすぐ通路が伸びる。
錆びたパイプが、光を求めて逃げ出そうとしていた。
ここまで来て、まだ半分も見れていない...。
途方に暮れてしまうほど巨大な
廃墟都市、サハリン。
来月に続きます。
●日本人絹パルプ敷香工場(王子製紙敷香工場)
ロシア・サハリン州ポロナイスク/2007年8月/サカイ
買ってね!
そうだ、サハリンへ行こう。
コメント(3)
サハリン製の看板とかチラシとか、可愛いですね。
大きさもさることながら、細部も面白そうです。
アンチ調べ物・酒井が、きちんと調べてますね(笑)
(春吉)
やばい、行ってみたい(;_;)まるで軍艦島みたいです。
>サハリンに残る王子製紙の工場跡について深く知るために、
東京都北区にある「紙の博物館」を訪れた。
そういうことするの大好きです。
廃墟って歴史や建てられた経緯を学ぶと2倍楽しめますね。
プロ意識が感じられました。
●はるきっちゃん
サハリンは、私の心に僅かに残っている、
「調べよう」スイッチを押してくれたよ。
きっと、もっと面白いモノが残っていると思うんだ!!
●くまおさん
サハリン、マジで面白いっすよ!!
今、円高だし、八画文化会館の豪華ゲスト陣とともに、
青春丸出しの、サハリン・ミステリー・ツアーの
旅に出かけたいなあ・・・なんて夢を見ています。
僕らが未だ見ぬ、
鮮烈な何かと巡りあえる気がするのです。。
いつか、みんなと一緒に、行きたいなあ。
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