館内に衝撃が走った。

東京は駒込にある老舗のラブホテルHOTELアルパ。
都築響一氏の著書『ラブホテル』（アスペクト）や、
ニッチでマニアックなものへの
情熱が迸る映画の数々を世に送り出している
村上賢司監督の『ラブホテル・コレクション―甘い記憶―東日本』
にも取り上げられた、関東屈指のラブホテルである。
このナイスタイミングな閉店情報は
村上監督がつぶやかれていた。

電話で直接ホテルに確認を取ると、
やはり今日（2010年10月12日）の深夜零時で
営業を辞めるとのこと。

「とにかく現場へ！」

われわれ取材班は現場に急行した。
駒込の駅から1分も歩かないうちに
アルパの看板が見えた。

近づいてゆくと暗がりの中に、
パシャパシャとシャッター音が響いている。
「いるもんだねー同志かな？」
館長が必要以上に通る声でつぶやくと、
人影がこちらにやってきた。

やはり。
閉店情報を流していた村上監督だった。
駆けつける同志がそんなにたくさんいたら
閉店しないだろう。

村上監督が快く譲ってくれたので、
遠慮なく一番ゴージャスな303号室に
入室することができた。
ありがとう、村上監督！

エレベーターで3階へ。

廊下のあたりも外装と同じく、

控え目ゴージャスです。

303号室に入室します！

入るとすぐに出迎えてくれる
スワンに跨ったアルパー氏。

ミルククラウンみたいな灰皿みたいな電球。
大人の社交場な雰囲気と、

メルヘンな小人が共存し、
ミスマッチなのに何故か違和感がないのは、

美は細部に宿るのではなく、
インパクトに宿っているからだ。

半円のカプセルの中に
円形の真っ赤なベッドが入っており、

★がべたべた貼ってあり、
そして剥がれている。

ガチャポンをまっぷたつにしたような
ベッドと思って間違いない。

どうしてだろう。
コンドーム置き場には
たぶんアンパンマンのキャラクターの
アンパンマンじゃないやつ。
名前を調べようという気にならない顔立ちです。

ベッド周りをじっくり見たあと、
階段を下りて行きます。

カプセルは
「SKY~LAB 999」という名の

気球だ。

LOVEをLABとする勢いの良さと、
敢えてミリオンにあと一歩届かない
ナンバー999をあしらうという切ない感じの演出。
インパクトだけではない丁寧な仕事ぶりに、
感服した。

帰ってからもしかしてと思って調べると、
LABはLABORATORY（研究室・実験室）の略かもしれず、
「空の実験室」だとすると
エロスを最大限ファンタジー寄りに解釈した
素晴らしい名前の気球であることに
変わりはなかった。　　

話は変わって下の階の細かいものです。

「SWEET ROMANCE FOR MODERN LIFE COLLECTION」
というお茶とかが入ってる箱。

一面、空とか雲だよ。

100均のカーテンなどのせいで
チープに成り下がってしまった模様だけど、
そんなことは全然気にも留めず漂う雲と、
飛び散るハート。
後編はドアの中からスタートです！

おまけ。
内部の様子です。

●HOTELアルパ(閉店)
東京都豊島区駒込1-37-3
2010年10月／イシカワ
　
　

ホテルアルパの載っている
都築響一先生の『ラブホテル』
　
　

同じく、
村上賢司監督の『ラブホテル・コレクション　東日本編』
こっちの立派な映像で
真のゴージャス感を味わってね！！