人が行き来する量に比例して、街中の看板の設置量も増えます。
看板が増加すると、看板同士の競争が生まれます。
看板の宿命は、なんといっても目立つこと。
巨大化させたり、同時多発的に乱立させたり、著名人を起用したり、
奇抜なコピー、派手な電飾や色使い、グラフィカルなデザインなどを駆使して、
あの手この手で目立とうとします。
こうして、街の景観は雑多になり、やかましくなってゆきます。
今では、電光掲示板や、巨大モニターから映像が流れたりと、
ハイテク化が進み、看板による街の喧騒は加速しています。
「目立てば勝ち」という看板競争化社会において、
「目立っているのに勝ててない感じ」の方向に進化した看板*1 があります。
それこそが、愛すべきローテク看板です。
*1 「目立っているのに勝ててない感じ」の方向に進化した看板の顕著な例。
両手が上下にゆっくりと稼働し、頭上の回転灯が光り、夜になると目も光ります。
現在は動いていない、という噂も...。
ローテク看板とは、「目立ち」を構成する要素に、
「動き=動力」を用いた意欲的な看板たちです。
目立つ→派手にする→音や動きを取り入れる、
というシンプルな思考から産み落とされた表現方法です。
動力の導入は、看板競争化社会において極めて革命的な事件であった...
かどうかは知りませんが、現在、主流の表現方法でないことは、
疑いようにありません。
さて、そんなローテク看板の特徴ですが、
「単調な動きをする看板」ぐらいに思っておけば良いでしょう。
そのシンプルさが、僕がローテク看板のことを好きな理由のひとつです。
だからといって、なめてかかると痛い目にあいます。
なぜなら、看板によっては動力源*2 が異なっていたり、
諸条件が揃わないと動かないというレアなモノがあったり、
宣伝広告する商品と看板の「動き」がマッチしていないという、
看板としては致命的な欠陥があったり(でも平気)と、
一筋縄ではいかないからです。
*2 カラスよけのカラス。動力は風力で動きます。
ローテク看板にもエコ化の波が押し寄せています。
さらに現在では、その希少さから「逆に目立つ」ローテク看板、
周回遅れで、時代を先取りしているようです。
たとえばこんな例。
ソーラーパワーで木魚をぽくぽく叩く和尚さんです。
次回は、この和尚さんについて詳しくご紹介します。
ケータイと30秒ぐらいの時間があれば、
誰でも気軽に楽しむことができるのも、
ローテク看板の魅力のひとつなので、
君の街でも見つかったら、ぜひ報告して下さい!
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