夏のヒロシマは暑かった。
この貼り紙を見よ。
広島市内の壁々には、
被爆国首相への命令が、
千羽鶴の祈りとともに貼られている。
かなり色々な場所にぺたぺた
貼られているのを見かけた。
キリスト看板の
「悔い改めよ」とは
比べ物にならないリアリティーがある。
あまりの暑さに呆然としながら、
むかし、新宿西口の雑踏の中で見かけた
青年のことを思い出した。
広島のために千羽鶴を折ってくれ、
と道行く人に声をかけていた。
あまりにも真剣な面持ちだったので、
思わず、鶴を折ってしまった。
しゃがみこんで鶴を折っているあいだ、
募金でもなく、署名でもない、
鶴を折るということに、
どういう意味があるのか考えてみたが、
よくわからなかった。
青年は、熱心に目を光らせて
「毎日仕事が終わってからここに来て、
鶴を折って下さいと呼びかけている」
といい、私の折った首のひしゃげた鶴を受け取った。
別に悪いことをしたわけでもないのに、
妙な居心地の悪さを感じて、
あと通行人の多大な無関心と好奇の目で、
自分の半径1メートルが真空地帯のようになってしまったので、
そそくさと立ち去った。
人類総ザンゲの日制定を求める
熱い魂に触れて、
ふと、そんなことを思い出しました。
●原爆ザンゲステッカー
広島県広範囲の壁/2010年07月/イシカワ
『連夜の街』(旧赤線跡の写真集)などで有名な
女性写真家・石内都さんの被爆遺品写真集。
コメント(2)
たまにはこういふ濃い記事もいいですね。
その日を振り返るのは大切な事ですよね。
>廃墟マンさん
コメントありがとうございます!
こういう記事にコメントいただけると思わなかったので、
とっても嬉しいです。
一年に一度ぐらい黙祷する日があってもいいですよね。
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