広島の廃墟愛好家タケピンさんに案内してもらって、
talkin'trashのイルカちゃんと一緒に
広島の戦慄系廃墟ツアーに参加した時のことだ。
呉市の国道185号線を走っていると、
戦慄のたこやき屋が我々の行く手をふさいだ。
その名は「たこやき 遙」。
たこやきと、二重焼(今川焼、回転焼と同じ食べ物)、
そして、何者かによって消された不吉な「ソフトクリーム」の文字...
たこのピースフルな外見に惑わされてはいけない。
消されたソフトクリームの行方を追うと...
陽気なカブト虫だ。
「猫に小判」「馬の耳に念仏」と、
次々にうまいこと言ってはことわざにしてきた昔の人も、
よもや「カブト虫にソフトクリーム」は、
思いつきもしなかったろう。
スター気どりで手をあげているところもよくわからなければ、
なぜ赤いのか、そもそもなぜカブト虫なのかもわからない。
子供は時として必要以上に自由だ。
たとえば、好きな食べ物を訊かれて、
きちんと「ソフトクリーム」が思い浮かんだにも関わらず、
「ソフトクリームより、カブト虫の方が好きだな」と、
質問の意図を敢えて無視した答えを選んでしまう。
理解の彼岸にあるこの看板を描いた製作者も、
ソフトクリームのアピールをしなければならないのに、
「子供ってやつは、ソフトクリームよりカブト虫が好きだろ」と、
子供と同じ思考回路で、発注意図を敢えて無視した絵を描いたのだろう。
カブト虫を気合いを入れて描いたあと(けっこう、うまい)、
素材集とかにあるソフトクリームの絵を
これでも貼っとけ、とばかりにあしらった大胆な構図。
広島のリベラルに、思わず息をのんだ。
●たこやき遙のカブト虫ソフトクリーム
広島県呉市仁方西神町/2010年9月/イシカワ
「ことわざ仙人」っていうネタから始まる
ラーメンズ第9回公園『鯨』。
最後の「器用で不器用な男と不器用で器用な男の話」
っていうコントはコントだけど悲しくて
思わず泣いたよね。芸術家が夢を諦める話さ。
コメント(5)
たこ焼き、ソフトクリ?ム、二重焼き、はたまたホンダTodayまで。
ベクトルを感じられないオーナーの多角経営が店じまいの要因でしょうか?
カブトムシの羽のツヤが無駄にうまく描写されていますね。
俺は広島で生まれた!自由へ疾走するぜ!
というカブトムシソフトの叫びに共感しました。
今のところ俺の年間面白看板ランキング第1位!です。
基本看板にあんまし興味ないけど。
●くまおさんへ
色んなものに手を出しちゃったんでしょうね、興味の赴くままに。
ほんとに、絵が上手なんですよね(笑)
子供が書いたみたいな真の大人の仕事も素晴らしいですが、
こういうプロフェッショナルな大人の仕事も見落としてはいけない
と思いました。
●マツピン(タケピン)さんへ
広島はちょっと走るとすぐ面白看板が登場するので、
なかなか目的地にたどり着けない魅惑の国です。
カブトムシとソフトクリームの取り合わせなんて、
そんなに出ない発想ですよね。
ほんとに自由なところだなぁ、広島…
(春吉)
「このカブトムシ、どっかで見たことあるなぁ」と、
ずっと考えていたら漫画『伝染るんです(吉田戦車)』に出てくる斎藤さんにそっくりでした。
完全に立ち上がっていますね。
イルへ
斉藤さんがわからなかったので、画像検索していたら、
「館長にそんなの見て遊んでるだったら…」と
お小言を言われてしまったよ。
なので斉藤さんが曖昧なままです。
(春吉)
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